おわらいふ

弥生賞「ヘヴィータンク、野中悠太郎」が誕生したから思ったことを。

2018年3月1日木曜日16時、出馬投票が発表され、久しぶりの重賞挑戦となる、この騎手が乗れるとが分かって喜んでしまった自分に非常に腹が立ってしまった。

2018年の弥生賞、超豪華メンバーが揃った。今年の弥生賞は3歳クラシック世代の中心になっていくであろう牡馬が一斉に出てきた。ワグネリアン・オブセッション・ジャンダルム・ダノンプレミアム・サンリヴァルなど、まるで皐月賞かと疑う位のメンバーだ。これほど嬉しく楽しいことは無い。しかしその豪華メンバーの裏で話題となったことがある。

未出走馬 ヘヴィータンクと言う競走馬の出走である。超豪華メンバーが揃ったことによって、戦前から登録馬も少なくなるだろうと予想されていた。実際に10頭と言う極めて少ない登録となった。比較的弥生賞は少頭数になりやすいが、なぜ10頭と言う少ない頭数になったかと言うと説明は簡単である。メンバーが強すぎるからである。弥生賞から皐月賞への優先出走権は上位3頭まで。その中に入らないと賞金が足りてない馬は確実に皐月賞に出走することできない。

しかしその中に歴然と輝く未出走馬が登録したのである。森厩舎所属ヘヴィータンクという馬である。ただ、ここに苦言を呈するのではない。出走し完走すれば賞金が手に入る。そういうルールになっている。だから登録してきたのである。10着(完走)だとしても、1着賞金の2%(100万円)と出走手当が手に入る。そして、重賞だとタイムオーバーがない。そういった理由だ。

ただ調教を見る限り、万全のデキではない事は、私の目でも見てとれる(これが万全の出来と言う人も、もしかしたらいるだろう)。初めて時計を出した2歳馬か、と思う位のデキに見え、直線はフラフラ、足並みも全く揃っていない。本当に勝つ気があるのかと疑ってしまうような最終追い切りに感じられた。このフラフラの状態で誰かがレースで騎乗しなければならない、と考えたとき、私の背中はゾクッとした。調教映像も万全だけど、どうも足りないなぁとかっていう想像ができるかもしれないが、今回の調教は絶対に仕上がってないでしょ。

 

3月1日木曜日16時、出馬投票が発表された。そこで目の当たりにしたのが、へヴィータンク 鞍上:野中悠太郎という文字列だった。

 

読者の方は知っていると思うが、筆者はヘッダー画像を野中悠太郎幕にしているぐらい、野中騎手を応援している。

鞍上に決まった経緯もなんとなく察することが出来る。簡単に言えば、誰も乗りたくないのだろう。注目されるレースに出走する未出走馬が「どんな馬なんだろう?」と把握するためには調教を確認するのが手っ取り早い。競馬ファンの中でもこれだけ話題に挙がっているのだから競馬村の人達が見てない訳がない。正直、騎乗して得することは限りなく0に近いだろう。リスクを冒してまで1周回ってくる理由がないだろうし、それを騎手やその周りは全員分かってるだろう。しかし、競馬は必ず1頭の馬に1人の騎手が乗らなければならない。誰かがババを引かなければならないのだ。

普通に簡単に考えられるのは、年少者、後輩、歳が若いヤツ、重賞に乗りたいヤツに焦点がいくだろう。そして、必然なのは、当日、中山競馬場で騎乗している騎手。察するにNOと言うことが出来ないヤツになってしまう。後日談この依頼テクニックに関しては、省略させて頂く。

本気で2着以内に入って(未出走馬に関して)、本番の皐月賞に出走できると思っているのだろうか。

騎手もロボットでは無い。感情というものが存在している。「そんなの承知で騎手という職業やってるんだろ?」って言う意見は正しいが。

勝負気配が全くないのはどうでもいい、ただただ“怖い”のだ。騎乗する騎手があの調教動画を見てない訳がない。あの動画を見て、まず初めに思い浮かぶ印象ってなんだと思いますか?「フラフラしてて可愛い」「なんかバタバタしてる」「右左にヨレてる」といったところか。調教の時点でフラフラなのだ、それがレースになって、もし一生懸命走って、もしバテてヨレて、もし制御が効かなくなったら。
もし好スタートを決めて、もし馬群に閉じ込められて、未出走だからビックリして、もしヨレるようなことになったとしたら。

起きてからでは遅いんだ。“もし”を少しでも考えとかなければならないのだ。

もし、普通にスタートして、普通に最後方追走して、普通にゴールして、「ああ良かったね」で済むかもしれない。でも、それじゃあ同じことがまた繰り返されるかもしれない。次は取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
弥生賞という、競馬にあまり興味ないけど、地上波で見られる、注目されるレースだからこそ本気で考えて欲しい。正直、今回鞍上が野中悠太郎になったから、本気で考えることができた。今まで、そんなことも考えずに競馬を見ていた自分に腹が立った。

 

出来ることなら、大外枠引いて、誰にも迷惑掛けず、ラチから少し離れたところをぐるっと一周回ってきて欲しい。それがすべての人が幸せで終われる解なのではないだろうか。

ただ一人、納得出来ないヤツもいるかもしれないが。

「そして、少しでも多くの方の馬券に貢献できる騎乗ができれば良いなと思っています」

騎手をしていて嬉しい・楽しいことは?-「少しでも上の着順にきて、馬主さんや調教師さんの喜ぶ姿を見たとき」

 正直、オレは悔しいし、悲しい。だけど、応援しなければならない。3月末から単身、アイルランドに修行に出るのだ。こんなところでケガなどしていたら、全ての話がパーになってしまう。たまにはアッと驚く「穴太郎」を見せるのもいいけど、今回だけは。今回だけは、オレは、鞍上にこの言葉を贈りたい。

 

意外と掲示板載って「なんなん〜ww」って言える未来を信じて。

 

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